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孫がお爺さんを相続放棄できるのか?知っておこう「再転相続」!

相続放棄ができる相続は、自分が相続人になった相続に限られるのが原則ですから、不良物件の相続登記もれは、相続放棄ができない将来の子孫に思わぬ禍根を残すことになります。ぜひとも将来の子孫のために『相続登記してnet』で相続登記を尽くしてあげて下さい。ただし再転相続という例外的な相続放棄の方法もございます。この機会に知っておきましょう。

孫がお爺さんを相続放棄できるのか?知っておこう「再転相続」!
孫がお爺さんを相続放棄できるのか?知っておこう「再転相続」!

きっと一度は聞き覚えのある相続用語に「相続放棄」という言葉があります。皆さまはその意味を正しくご存知でしょうか。ご先祖が死亡しますと、当然、相続人様らは悲しみに包まれます。とはいえ人間は頑強なもの。しばらくすると、関心は遺産つまり相続財産に移って参ります。

 

「親父の家は俺が相続する」、「私は母さんの相続を放棄するよ」などなど。ここで、くしくも出ました「相続放棄」なる用語ですが、実は正式には相続放棄という用語は、裁判所の手続を意味するのでして、決してご親族間での話し合いだけでなし得る手続ではございません。

 

もちろん会話は表現の自由ですから、相続放棄に非ざることを「相続放棄」と表現するのを阻止することはできません。ですが相続放棄という用語には2種類の意味があるということだけは、ぜひとも頭の片隅に置いて頂きたいと思います。そこで、いったん、まとめ表を見ておきましょう。

 

相続放棄の2つの意味についてまとめ

  1つ目の相続放棄 2つ目の相続放棄
意味 先祖の財産の相続を辞退するという意味 相続人の地位自体を放棄するという意味 
属性 一般用語 法律用語
手続

先祖の相続発生後いつでもなし得ます。また、意思表示だけでなし得ますが、協議書を作成することもできます。

先祖からの相続を知ってから3カ月以内に行う必要があります。また、裁判所に手数料を支払って必要書類を提出する必要があります。
効果 遺産分割協議として、不動産や預貯金といったプラスの相続財産は相続しないことになりますが、借金といったマイナスの相続財産は相続します 正式な相続放棄として、不動産や預貯金といったプラスの相続財産だけでなく、借金といったマイナスの相続財産も相続しません

 

お爺さんの相続について法律用語としての相続放棄はできるのか?

相続放棄は、この文字だけに着目しますと、相続を放棄すると読めます。

しかし皆さまとて、誰の相続でも自由に相続放棄ができるとはお考えでないはずで、自分が相続人になった相続について放棄をすることであることは薄々気付いていらっしゃるのではないでしょうか。例えば、自分の父や母の相続を相続放棄できることに何らの問題もございません。

 

では、自分のお爺さんやお婆さんの相続を孫である自分が相続放棄できるのでしょうか。

上記まとめ表の通り、相続放棄とは相続人の地位自体を放棄することをいいますから、相続放棄ができる相続は、自分が相続人になった相続に限られるとも思えます。自分のお爺さんやお婆さんの相続人は自分の父や母であるはずであって、孫の自分は相続人ではありません。そうしますと、孫はお爺さんやお婆さんの相続放棄ができないという結論になりそうですが、原則としてこれが正しい考え方であります。

 

ただし原則には例外が付きものでございます。

実は、例外的にお爺さんやお婆さんの相続を孫が相続放棄することができる場合もあるのです。これを再転相続(さいてんそうぞく)といいます。相続放棄には3カ月という期間制限があり、この3カ月間のことを熟慮期間(じゅくりょきかん)といいます。しかし稀に熟慮期間の途中で相続人が死亡してしまうことがあります。この場合、理論的には、熟慮期間中に死亡した相続人の相続人は、途中で死亡した相続人の熟慮を引き継ぐと共に、自分の熟慮も始めることになりますから、一定の限度で例外的に、孫がお爺さんやお婆さんの相続を相続放棄できる結果となるのです。

 

このように、お爺さんやお婆さんが死亡して、父や母が3カ月間の熟慮期間中に死亡した場合には、孫がお爺さんやお婆さんの相続について相続放棄をなし得ることになります。極めて例外的なケースではありますが、再転相続について、ここでもまとめ表で整理しておきましょう。

 

再転相続についてまとめ

  代襲相続 再転相続 数次相続
時系列

お爺さん・お婆さんが死亡

お父さん・お母さんが死亡

①お爺さん・お婆さんが死亡

熟慮期間中にお父さん・お母さんも死亡

①お爺さん・お婆さんが死亡

②お父さん・お母さんも死亡

孫が相続放棄できる相続

①の相続

or

②の相続

 

 

①の相続

②の相続

ただし、②の相続を相続放棄した後に、①の相続を相続放棄することはできません。

の相続のみ